虫歯とは

歯の病気と聞かれて真っ先に思いつくのは「虫歯」ではないでしょうか。
虫歯とは、虫歯菌(主にミュータンス菌)の作り出す酸によって、歯が溶けてしまう病気です。ひとことに虫歯と言っても、歯の表面が少し溶けただけの軽度の虫歯から、歯を支えている歯の根っこまで進行した重度の虫歯まで様々です。
虫歯の初期段階(軽度の虫歯)であれば、毎日の歯磨きなどによって進行を食い止める事ができたり、治療で歯を削る範囲も少なくなります。
しかし、進行してしまった虫歯は自然に治らずにどんどん悪化していき、別の歯にも悪影響を与えてしまいます。
初期の虫歯は痛みを感じないことが多いので気付きにくいですが、歯に痛みを感じるようになってから来られる患者様の場合、すでに虫歯が進行してしまっていることが多いです。早期発見・早期治療が年齢を重ねても歯を長く使うために大切なことです。
なぜ虫歯ができるのか
物を食べても歯磨きなどのセルフケアを怠っていると虫歯になるというのが一般的に知られている事だと思います。
これは間違いではありません。虫歯菌は食べ物の中に含まれている糖分をエネルギーにして、歯を溶かす原因になる酸を作りだします。
歯と歯の隙間などに食べカスなどが付いたままでいると、そこから虫歯ができてしまいます。「ご飯やおやつを食べたらすぐに歯磨きをしないと手遅れになる」と思っている方もいらっしゃると思いますが、まずは虫歯ができるメカニズムとしては「脱灰(だっかい)」と「再石灰化(さいせっかいか)」を知っていただきたいと思います。

歯は日常生活の中で脱灰と再石灰化を繰り返しています。
脱灰とは:虫歯菌が糖分を餌に作り出す酸によって歯が溶ける事
再石灰化とは:唾液に含まれているミネラルやカルシウムなどの成分によって、歯が再生する事


虫歯になるということは、この脱灰と再石灰化のサイクルのバランスが脱灰に傾いているということです。虫歯にならない為には、お口の中に糖分がある時間を短くして、再石灰化の時間を長くすることが重要です。
決して「おやつを食べてはいけません」という訳ではございません。「TVを見ながらダラダラ食事をする」「お腹がすいたのでその度にお菓子を食べる」「漫画や本を読みながらおやつを食べる」といったような行為を避けて、食べる時はスパッと食べてから別のことをするように心がければ、食事やおやつに対して神経質になりすぎることはございません。
可能であれば、食後のうがいだけでもいいので、お口の中の糖分を少なくすると再石灰化の助けになります。
やってはいけない事
- ●ダラダラ時間を掛けて食事をする
- ●唾液の分泌量の減る就寝前に食事をする
- ●1日に何度も間食をする
心がけてほしいこと
- ●規則正しい食事
- ●間食の回数を減らす
- ●食後に水やウーロン茶で口をすすぐ
虫歯の進行度合い
虫歯には進行に応じてC0~C4まで段階が分かれています。
それぞれの段階に応じて治療内容や症状が変わります。
≪C0≫

歯の表面が脱灰により白く濁っている状態です。
痛みを感じる事がなく、削る必要もありません。歯磨きを丁寧に行うことにより、虫歯の進行を抑え、現状を維持することができます。その際に再石灰化を促す歯磨き粉などを使うとより効果的です。
≪C1≫

歯の表面に小さな穴が空いてしまった状態です。
痛みを感じる事は少ないですが、この状態になると歯磨きだけでは対処することが難しいので歯医者で治療を受けてください。治療を行う場合も必要最低限を削り、その日の内にプラスチックの詰め物で補うだけでよいので、1回の治療で済むことがほとんどです。
≪C2≫

歯の深い部分まで虫歯が進行している状態です。
この段階になると冷たい物や熱い物を食べたり飲んだりすると、しみたり痛かったりします。C2になると虫歯の進行スピードが速くなるので、早めに歯医者に行くことをオススメします。虫歯になっている範囲が広い場合があるので、その日の内に治療が終えることが難しくなります。歯の型を取り、それを基に詰め物を作ります。約1週間程度で詰め物が完成するので、歯科専用の接着剤を使いそれを固定します。
※詰め物を作成している間は仮の詰め物を入れます。
≪C3≫

虫歯が歯の神経にまで進行してしまった状態です。
飲食時に激痛を伴います。また、何もしていなくても痛みます。すぐに歯医者に予約を入れましょう。我慢できない場合は市販の鎮静剤などで対処をしてください。神経にまで虫歯が進行しているということは、場合によっては神経を取り除くこともあります。歯の根の消毒を行い、詰め物や被せ物の作成し固定します。通院回数が増えますが自分の歯を残すためにも根気よく治療しましょう。
≪C4≫

歯の根元まで虫歯が進行している状態です。
殆ど歯が溶けてしまっていたり、神経も死んでしまっているので痛みを感じることはなくなります。しかし、これを放置すると歯の根に膿が溜まり、虫歯菌が進行し歯の周りの骨や顎の骨にまで害を及ぼします。他の歯にも悪影響を与えている可能性も高いので、こうなる前に歯医者で治療を行いましょう。
状況にもよりますが、抜歯となることがあります。場合によっては残っている歯の量次第で被せ物を使用できることがあります。
虫歯予防のために

定期的に歯医者で検診を行うことをオススメします。
どんなに丁寧にセルフケアを行っても、歯ブラシだけでは約60%、フロスや歯間ブラシを合わせて使用しても約80%までしか歯垢を落とすことができません。
残りは歯医者で専用の器具を使い除去をする必要があります。
どんなに丁寧にセルフケアを行っても、歯ブラシだけでは約60%、フロスや歯間ブラシを合わせて使用しても約80%までしか歯垢を落とすことができません。
残りは歯医者で専用の器具を使い除去をする必要があります。
また、虫歯治療は早期発見・早期治療が望ましいですが、痛みなどの自覚症状が無いとなかなか歯医者に行こうという気にならないのではないでしょうか。自分の歯の状態を知ることにより、虫歯になりやすい場所や改善方法を知ることができます。
虫歯が進行する前に食い止めることで、歯を失うリスクを減らせるほか、通院回数や治療費用も抑えることもできます。