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銀歯が原因でアレルギーに?避けるためにできること

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  • 2023.08.04

アレルギーと聞いて、想像するのはどのような病気でしょうか?

例えば、春には花粉症が増えますし、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、じんましんなど、様々な症状が思いつくと思います。

また、ネックレスなど金属の装飾品で皮膚が赤くなる、痒くなるという方もいらっしゃるでしょう。

 

このような金属アレルギーは、歯科治療で使われる銀歯(被せ物・詰め物)の金属とも関係してきます。

銀歯が原因でアレルギーになってしまうことがあるのです。

口の中の銀歯で、なぜ金属アレルギーが起きてしまうのでしょうか。

そして、そのようなアレルギーを避けるためには、どのようなことができるのでしょうか。
 

金属アレルギーとはどんな症状なのか

 
金属アレルギーでは、どのような症状が現れるのでしょうか。

金属アレルギーは、身に着けたり、銀歯に使うことで体に接触します。

装飾品の場合は、比較的早いうちにアレルギー反応として発赤やかゆみなどが出てきます。

銀歯によるアレルギーの場合は、歯肉炎や口内炎や口唇炎ができやすい、舌が荒れやすいなどがありますが、口の中に現れる症状だけではありません。

アレルゲン物質が身体中をかけめぐるため、全身に出る可能性があります。

 

場合によっては脱毛が見られることもありますし、肩こりなども、銀歯による金属アレルギーとの関連があると言われています。

皮膚に湿疹や水疱ができやすい方は、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の可能性もありますので、皮膚科で相談されてみるとよいかもしれません。
 
 

金属アレルギーになってしまう原因

 
銀歯で使われている金属でアレルギーになる原因は何でしょうか?

金属によるアレルギーは、ネックレスのように接触した部分が赤くなったり、かゆみが出るだけではありません。

金属イオンとなって、唾液などの水分に、時間をかけてゆっくりと溶け出していくことが原因とされています。

 

しかも、銀歯には多くの種類の金属が含まれているため、原因となる可能性の金属もたくさん考えられます。

そして、この溶け出す速度がとてもゆっくりなので、金属アレルギーを発症するまでに時間がかかるのです。
 
 

自分ではアレルギーと気づかない人も

 
金属アレルギーとしてよく現れる症状は、貴金属の装飾品を身につけていて、接触した部分の皮膚が赤くなったり痒くなったりすることです。

この場合、接触した部位に症状が見られ、それも比較的短時間で現れるため、原因がこの金属の中にあると気づくのはそう難しくありません。

 

一方、銀歯の金属によるアレルギーのメカニズムは、銀歯の金属がゆっくり時間をかけて溶け出し、その金属イオンが全身にまわり、口から離れた場所で金属アレルギーの症状を起こすまで、とても長い時間がかかります。

そのため、手足の症状や、身体に様々な不調が現れるまでに時間がかかります。

口の中の金属が原因である、と気づかないことも多く見られます。
 
 

銀歯に含まれる金属

 
銀歯は見た目が銀色ですが、銀だけ、鉄だけといった1種類の金属で出来ているわけではありません。

保険診療でよく使われている金属は、12%金銀パラジウム合金といい、略して「金パラ」とも言われています。

金パラの組成・成分は、金が12%、パラジウムが20%と、JIS規格によって定められているのです。

その他には、銀が約50%、銅が約20%、その他インジウムなどの金属が数%含まれています。

 

銀や銅の割合が、金やパラジウムより多いのですが、金パラと言われています。

銀歯を製造するメーカーによって、成分の割合は多少異なりますが、金とパラジウムの含有率に関しては、どのメーカーでも同じ規格になっています。

このように多数の金属から組成されているのは、加工がしやすく、そして保険診療で使える、ある程度の強度を持たせるために研究された結果です。
 
 

金属アレルギーを避けるためにできること

 
では、このような金属アレルギーを避けるためには、どうすればよいのでしょうか。

まずは、金属アレルギーがあるのかどうか、皮膚科で検査を受けてみましょう。

 

パッチテストという金属イオンを含んだ絆創膏を背中に貼って、赤く反応するかどうかで判定することができます。

検査日程が決まっていることや、夏場は金属イオンが汗に溶けて流れ出すため検査結果に影響することなど、いくつか注意点があります。

詳しくは皮膚科の医師にご相談ください。

 

そして、もし金属アレルギーがある、もしくは疑われる場合には、口の中の金属を別の素材に変えてもらうことを歯科医院で相談してください。

小さい金属であれば、レジンという白い素材に変えてみることが可能なケースもあります。

差し歯の土台となる素材も、ファイバーコアという素材であれば金属を使わないため、より安心です(ただし、歯質が多く残せるという歯の場合のみ)。

 

また、金属アレルギーの診断があれば、保険診療でも使える素材があります。

ハイブリッドセラミックレジンという素材です。

かかりつけ、もしくは通院予定の歯科医院に、金属アレルギーの患者さんに対して、ハイブリッドセラミックレジンを取り扱っているかどうかを確認してください。

その歯科医院で対応できそうであれば、皮膚科で金属アレルギーの検査・診断をしてもらい、歯科医院あての紹介状を書いてもらいましょう。

歯科医院側では、皮膚科からの紹介状が無いと、保険算定ができません。

金属アレルギーがある場合は、このようにして、口の中から金属を除去していきましょう。