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睡眠時無呼吸症候群をマウスピースで治療する際の注意点

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  • 2022.11.22

寝ている間に何度も呼吸が止まったり、眠りが浅くなる病気である睡眠時無呼吸症候群は、治療せずに放っておくと、脳卒中や心筋梗塞を招くこともある恐ろしい病気です。

歯科医院で作ることの出来る治療用マウスピースは手軽ですが、いくつか注意点があります。

今回は、睡眠時無呼吸症候群をマウスピースで治療する際の注意点についてお伝えしていきます。

 

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に何度も、呼吸が止まった状態が繰り返される病気です。

睡眠時の眠りの質が良くないために、起きた後もスッキリしなかったり、日中に急な眠気に襲われて、意識を失うケースもあります。

また、長い期間、睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、高血圧や不整脈といった循環器障害などの合併症を引き起こす可能性もあります。
 
 
【睡眠時無呼吸症候群の原因】
 
睡眠時無呼吸症候群の原因は、各種あるのですが、ほとんどの場合で、仰向けに寝た時に、空気の通り道である気道が、部分的あるいは完全に閉塞してしまうことにより起こります。

肥満傾向にある方や首の短い人など、構造的に気道が閉塞しやすい方で多く起こります。
 
 
【このような症状がある人は注意】
 
いびきや不眠がある方、また、夜間睡眠中に何度も目が覚めたり、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので専門機関に相談してみると良いでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

 
【生活習慣を見直す】
 
睡眠の質を悪くする習慣を見直すことで、睡眠時無呼吸症候群が改善する場合があります。

肥満傾向にある方は食生活を見直していただき、睡眠前に飲酒する習慣がある場合は、やめるようにします。

また、仰向け時に気道が閉塞されやすいので、仰向けにならないように寝姿勢を変えたり、自分に適した高さの枕にするなどの工夫をします。
 
 
【経鼻的持続陽圧呼吸療法装置(nasal CPAP)の使用】
 
経鼻的持続陽圧呼吸療法装置 (nasal CPAP)は、鼻から空気を送り込むことで気道が閉塞されることを防ぎ、睡眠時無呼吸症候群を改善する装置です。

多くの方に効果がある装置ですが、健康保険で使用するには医師の診断が必要です。
 
 
【マウスピースによる治療】
 
スリープスプリントと呼ばれるマウスピースを睡眠時に装着することで、下顎の位置を前方に修正し、気道が広がることによって、睡眠時無呼吸症候群の改善が可能です。

マウスピースは歯科医院で作ることが可能で、健康保険が適用されます。
 
 
【手術による治療】
 
アデノイドや扁桃の肥大が原因で、気道が閉塞している場合は、手術によって原因を取り除きます。
 

マウスピースによる治療

 
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に舌や喉の奥の軟口蓋が重力により落ちてきて、気道を閉塞することで起きます。

マウスピースを装着することで下顎の位置が前方に固定されると、舌を引き上げて気道が広がり、睡眠時無呼吸症候群が改善されます。
 
 
【マウスピース治療の利点】
 
マウスピース治療の利点としては、気軽に装置が作れることと、装置が小型であることです。

例えば、経鼻的持続陽圧呼吸療法装置(nasal CPAP)は多くの方に効果がある方法ですが、医師の診断が必要なのに加えて、装置もそれなりの大きさがあります。

コードに繋がれていることや、装置の音が気になって使えない方もいらっしゃいます。

一方、マウスピースであれば小型なので気軽に使うことが可能です。
 
 
【治療の流れ】
 
1. 歯科医師による診断
2. 歯型、かみ合わせを取る
3. 1週間ほどで完成、調整後に渡される
4. 使いながら様子を見て調整
 

マウスピース治療の注意点

 
マウスピース治療を行う際には、いくつか注意しないといけないことがあります。
 
 
【虫歯や歯周病がないこと】
 
虫歯がある場合には、マウスピースをつけることで虫歯が悪化したり、歯が欠けたりしてしまいます。

また、歯周病によって歯に動揺がある場合には、マウスピースをつけることで歯が弱ってしまいます。

そのため、虫歯や歯周病がある場合には、まずはそちらの治療が優先となります。
 
 
【歯が上下合わせて20本以上必要である】
 
自分の歯が20本未満しかない場合は、マウスピースが固定できないため、マウスピース治療を行うことは出来ません。

歯が上下合わせて20本以上あり、マウスピースを口の中にしっかりと固定できることがマウスピース治療を行う条件です。
 
 
【下の歯を上の歯より8ミリ以上前に出せる】
 
睡眠時に気道を広げるには、下の歯を上の歯より8ミリ以上前に出せることが条件となります。

下の歯を上の歯より8ミリ以上前に出せない方が、無理にマウスピースを使用してしまうと、顎関節を痛める可能性があります。
 
 
【重度の睡眠時無呼吸症候群の場合】
 
マウスピース治療で改善できるのは、軽度から中度の睡眠時無呼吸症候群です。

重度の睡眠時無呼吸症候群になると、マウスピースでの改善は難しいため、経鼻的持続陽圧呼吸療法装置 (nasal CPAP)など他の方法での治療になります。
 

まとめ

 
睡眠時無呼吸症候群をマウスピースで治療する際の注意点についてお伝えしてきました。

マウスピース治療は、歯科医院で気軽に出来る治療法のため、近年、希望する方が増えている治療法です。

ですが、睡眠時無呼吸症候群の重症度や健康状態によって、マウスピース治療が向いていない場合もあるので、どの治療法が最適なのか、医師と相談した上で選択するようにしましょう。