【歯石と歯周病の関係とは?】歯周病の具体的な治療方法

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歯が痛くなり、虫歯の治療をしてもらうために歯科医院に行ったら、歯周病も見つかったという方は多いのではないでしょうか?
歯周病は余程進行しない限り、自分で気付くことは難しい病気です。
頻繁に歯茎から血が出るようになったり、口臭を指摘されることが多くなって、ようやく「自分は歯周病なのかな」と疑うようになるケースが多いのではないかと思います。
そんな歯周病ですが、虫歯を超えて歯を失う原因で1番多いと言われています。
虫歯治療の場合は虫歯になった部分を削り、削った部分を人工物で埋めるという治療の流れは一般的によく知られていると思います。
では、歯周病の治療の流れをご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
今回は意外と知られていない「歯周病治療の方法」についてご説明いたします。
まずは歯石と歯周病の関係
皆さんは「歯石」というものをご存知でしょうか?
歯石は歯周病と密接な関係があるので、まずは歯石について知って頂ければと思います。
歯石とは簡単に言うと、歯の周りに付着する石のようなものです。
これは歯垢が唾液の中に含まれるカルシウムやリンと結びついて、石のようになったもの歯石と言います。
歯垢が固まってできるということは、磨き残しができやすい「歯と歯の隙間」や「歯と歯茎の境目」にできやすくなります。
歯石そのものは大きな害はないのですが、問題はその形状にあります。
イメージとしては軽石を想像してください。
軽石には小さな穴がたくさん空いていますよね。
歯石も同じように小さな穴がいくつも空いていて、その中に虫歯菌や歯周病菌といった細菌が住み着きます。
歯石は歯垢よりも強力に歯に付着するため、歯ブラシだけで除去することはほぼ不可能です。
しかし、歯垢から歯石へと変わるためには48時間ほどかかるので、それまでに歯垢を落とすことができれば歯石になることはありません。
さて、歯周病治療の方法に話を戻します。
歯周病の進行は歯周病菌による歯茎の炎症から始まります。
そのため、歯周病治療において重要なのは歯周病菌の数を減らすことです。
歯周病菌は先ほど説明した歯石に住み着くことで、繁殖し歯周組織に悪影響を及ぼすため、歯石を取り除くことが歯周病治療の基本になります。
歯周病が進行すると歯と歯茎の隙間である「歯周ポケット」も深くなります。
歯石ができやすいのは歯と歯茎の境目ですが、歯周ポケット内にも歯石はよく付着します。
歯周ポケット内にできた歯石は、もはや自分の力で除去することは不可能なので、歯科医院で専用の器具を使って落とすことになります。
歯周病菌は放っておくと歯茎に炎症を与えるだけでなく、歯を支える骨である「歯槽骨」を溶かしてしまいます。
そして溶かされた歯槽骨が元通りに回復することは、ほとんどございません。
できることは「それ以上歯周病を進行させないこと」なので、歯科医院で歯石取りが必要と診断された場合は、時間がかかったとしてもしっかり取り切ることが大切です。
歯石取りは早いうちに!
一言に歯石といっても、カチカチに固まった歯石から柔らかい歯石まで様々です。
カチカチに固まった歯石は取り除くことが難しく、時間がかかってしまいます。
一般的には歯石取りは右上、左上、右下、左下の4回に分けて除去を行いますが、歯石が硬かったり付着量が多いと、回数が多くかかります。
通院回数が多いと途中で通うのが面倒になり、治療を途中で止めてしまう方も中にはいらっしゃいますが、歯石取りは歯周病治療にとって
必要なものなので、一通り歯石を取り切るまでは頑張って通うようにしてください。
歯周病が進行すると、歯周ポケットのより深い部分に歯石が付着してしまいます。
一般的に歯周ポケットが4㎜までであればスケーリングという処置を行いますが、歯周ポケットが5㎜以上になると「フラップ手術」という外科処置を行います。
フラップ手術は麻酔をしてから歯茎を切開し、歯茎を開いて歯石がはっきりと見える状態にしてから除去を行います。
歯石はここまでして落とす必要がありますので、歯周病にとって歯石を除去するということは、とても大きな意味を持っているということをご理解いただければと思います。
フラップ手術は保険が適用される処置のため、膨大な費用が発生する訳ではございませんが、治療時間が長い場合は2時間程度かかります。
そして切開した部分が回復するまでは、食事内容にも気をつけなければいけません。
反対にできてから時間があまりたっていない歯石は、簡単に除去することができます。
ペースとしては3ヶ月に1回くらいでも十分です。
お口の中で異常が無いかの検診と合わせて定期的に除去を行うことをオススメします。
まとめ
歯周病治療において歯石取りは重要な治療です。
歯石の中で繁殖した歯周病菌が悪影響を及ぼすため、歯石を除去することが歯周病治療に対しての主な治療になります。
できたばかりの歯石は簡単に落とすことができますが、できて時間のたった歯石はカチカチに固まって除去するためには時間がかかります。
そのため、定期的な検診と合わせて歯石取りを行うことが、結果として費用や治療時間も抑えることになるでしょう。
歯周病は気付かないうちに進行していく恐ろしい病気なので、歯石をお口の中に溜めないことが重要です。
執筆/ひらかわ歯科医院 院長 平河貴大