虫歯

根管治療前の痛みと治療後の痛みとは

  • 虫歯
  • 2021.10.22

 

根管治療前の痛み

歯の神経を除去する根管治療ですが、患者さんの中には痛みについて心配される方も多いと思います。
 
今回は、根管治療の痛みについてお話ししていきます。
 
まずは、根管治療前に感じやすい痛みについてです。

根管治療をする前は、神経が細菌に感染し炎症を起こしている状態です。

神経が感染すると「慢性的な痛み」を感じる場合と、感染が進行し歯の根部分に膿が溜まることで起きる「急性的な痛み」の2種類があります。

 

慢性的な痛み

歯の神経が感染し、炎症が起きると慢性的に痛みが出るようになります。

この場合、常に痛みがあるのではなく、体調が悪い時や疲れている時に鈍い痛みが出やすいです。

また、激しい運動をした際に痛みを感じることもあります。

急性期に比べると痛みが少なく、感じない時もあるのでつい放置してしまいがちですが、根管内では虫歯が進行しているので、根の先に膿が溜まっていき急性期に移行してしまうこともあります。

早めに根管治療をしてもらいましょう。

 

<慢性的な痛みの対処法>

慢性期で痛みが強い場合は、市販の痛み止めを飲むことで緩和されます。

ただし、これは対症療法で、根本的な解決にはなりませんので、歯科医院で早めに根管治療を行い感染した神経を取り除く必要があります。

根管治療をした後に、被せもので歯の見た目を直していきます。

 

急性期の痛み

虫歯が進行し根管内にあった神経が壊死してしまうと、歯の根っこの先に膿が溜まっていきます。

溜まった膿により根管内の圧力が上がり、急性期に移行します。

こうなると、ズキズキと強い痛みを感じるようになり、ひどい場合は熱がでたり患部が腫れたりすることもあります。

急性期の痛みは数時間から数日間続き、やがて慢性痛に移行し、急性期と慢性期を繰り返していきます。

 

<急性期の痛みの対処法>

急性期の強い痛みの場合、痛み止めを飲んでも効かないことが多いです。

すぐにでも歯科医院で根管治療をはじめてもらうようにしましょう。

ただし、急性期で炎症や痛みが強い場合は、麻酔が効かないこともあるため、抗生物質などで痛みと炎症を落ち着かせてから根管治療を始めていきます。

 

根管治療後の痛み

根管治療をした後にも一時的に痛みが出ることがあります。

理由はいくつかあり、根管治療により根管内の感染した神経や歯質が取り除かれると、歯茎や骨の中に残っている膿を出そうと体の免疫機能が活発になることや、根管治療により、歯の周りにある神経が刺激されることで急性の痛みや腫れが出ることがあります。

しかし、この痛みは一時的なものなので、長くても3日ほどで収まることがほとんどです。

特に1回目の根管治療(抜髄)の後に痛みが出やすく、場合によっては歯科医師から痛み止めと抗生物質を処方されます。

痛みが出た場合は痛み止めを飲むなどして対処しましょう。

また、処方された抗生物質は必ず最後まで飲み切るようにしてください。

もし3日以上経っても痛みが治らない場合や痛みが強くなる場合は、すぐに歯科医師に診てもらうようにしてください。

 

治療中にも痛みを感じることがある

根管治療は麻酔をしてから行うために、治療中は痛みを感じることはありません。
 
しかし、急性期で炎症が強い場合は麻酔が効きにくくなることがあるために、無理に治療をしてしまうと強い痛みを感じることがあります。

また、神経をとった後でも、根の先に神経が少し残っていたりした場合も治療中に痛みを感じることがあります。

これに関しては、歯科医師の経験や判断が重要になりますので、根管治療に力を入れている歯科医院で治療することをおすすめします。

 

根管治療は中断しないで

根管治療中に痛みを感じた場合は処方された歯科医師に相談して、痛み止めを処方してもらうなど対処してもらってください。

根管治療は歯の治療の中でも難しい治療になります。

また、治療してもまた再発してしまったり、症状によっては長い治療期間が必要になることもあるため、治療を中断してしまう方がいます。

痛みがなくなっても、根管内には細菌が残ったままになり感染が進行していくと歯の根っこ部分もボロボロになっていき、最終的には抜歯するしかなくなってしまいます。

また、治療が終了していないのに長い間放置してしまうのも、状態が悪化する原因になりますのでしっかりと通院しましょう。

 

マイクロスコープの精密な根管治療

歯の中にある根管はとても細く、人によってその形態は異なります。

そのため、根管治療は精密性がとても重要になります。

感染した神経をキレイに取り除き、根管内をしっかり洗浄・消毒することで再発を防ぐことができます。

しかし、ほとんどの場合は狭い根管内を目視できないために、歯科医師の勘と経験が頼りなところもあります。

そのため、汚染部分を取り残したり、歯質を無駄に削って歯が割れやすくなるリスクが高くなるのも事実です。

そこで、根管治療の成功率を上げるために視野を拡大できる「マイクロスコープ」を導入して治療を行っている歯科医院もあります。

根管を拡大して視ることで、精密な治療が可能になり、無駄な部分を削ることなく最低限の負担で済むようになります。

 

まとめ

根管治療の前には、慢性期の鈍痛や急性期の強い痛みを感じることがあります。

特に急性期の痛みは痛み止めが効かないこともありますので、早めに歯科医師に診てもらいましょう。

まれに、根管治療中や治療後に痛みが出ることもありますが一時的なものが多いです。

痛みが出た場合は我慢せずに歯科医師に相談してください。