歯がグラグラすると感じたら、まずは疑うべき歯周病!

目次
歯のグラつきの大半が歯周病です
歯がグラつく原因は、次のようにさまざまです。
【事例1:噛み合わせの問題】
噛み合わせが悪いと、特定の歯に大きな負担がかかり、歯茎が痩せたり顎の骨に炎症が起こりやすくなったりします。
その結果、歯周病の悪化を招き、歯がグラつきやすくなります。
噛み合わせの問題と歯周病が重なると歯がグラつきやすくなるため、噛み合わせの調整と歯周病予防の両方を行うことが大切です。
【事例2:歯周病】
歯周病とは、歯周病菌によって歯茎や顎の骨に炎症が起こる病気です。
歯を支える顎の骨が破壊されることで、歯を支えられなくなります。
【事例3:強い衝撃を受けた】
転倒してぶつけたり、ボールが当たるなどの強い衝撃を受けると、歯が脱臼しグラつく場合があります。
【事例4:虫歯】
差し歯の継ぎ目から虫歯が進行すると、それを支える歯の根の部分が失われ、差し歯がグラつき、抜けてしまえば、歯の根だけが残ります。
この段階にまで進行すると、抜歯が必要となることもあります。
または、差し歯でなくとも虫歯が重症化した場合も、その歯の内部が空洞化してしまい、結果グラつきが出ます。
これらの場合でも根管治療によって歯を残せる可能性もあるため、少しでも気になり始めたら、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
さて、歯のグラつきの原因を述べてきましたが、その多くは歯周病だといわれています。
その歯周病の初期は自覚症状に乏しいため自分ではなかなか気づきにくいものです。
そのため、早期発見のために定期検診に通うことが大切です。
歯周病の進行度と歯のグラつき具合
歯周病の進行度は、次の4つのステージに分類できます。
【歯肉炎】
歯茎に炎症が起きた状態で、その赤みを伴う腫れや歯磨き時の出血などが主な症状です。
この段階では、歯はグラつきません。
【軽度歯周炎】
歯茎の腫れがひどくなり、さらに出血しやすくなるほか、顎の骨が破壊され始めます。
また、歯と歯茎の溝が深くなって歯周ポケットが形成され、その中に歯垢や歯石が付着し、歯茎の炎症が拡大します。
歯が少しグラつき始める場合があります。感覚的には、以前よりも物が詰まりやすくなった気がする程度かと思います。
なかなかそれだけで歯周病だとは気づきにくいかもしれませんね。
【中度歯周炎】
歯茎から膿が出るようになったり、口臭がひどくなったりします。
顎の骨が歯の根の半分近くまで溶けているため、歯が前後左右に動きます。
歯応えのある物がなんとなく噛みづらく感じ始める頃かと思います。
【重度歯周炎】
顎の骨が歯の根の半分以上溶かされているため、場合によっては歯が前後左右だけではなく上下にも動きます。
症状は、痛みや出血、膿の排出、強い口臭などです。
歯が大きく揺れるほど食事に支障をきたすほか、痛みも強くなります。
歯周病は放置すると進行する病気であり、罹患するとなかなか完治の難しい慢性疾患です。
歯茎の腫れや歯磨き時の出血、歯のグラつきがあるときは早めに歯科医院を受診しましょう。
歯にグラつきを感じたときの注意点
歯のグラつきが気になると、つい触ってしまいがちです。
しかし、グラついている歯を指や舌でむやみに動かすと、余計に歯が抜けやすくなってしまいます。
歯を動かすと、歯を支える歯槽骨がダメージを受けるため、歯周病によるダメージと重なることで歯が抜け落ちるまでの期間が早まってしまいます。
また、歯周病が進行すると歯が移動して、噛み合う相手の歯に強く当たることにも注意が必要です。
強い力がかかると歯槽骨のダメージがさらに強くなり、歯を失いやすくなります。
歯がグラつき始めた場合、中度歯周炎よりも進行している可能性があるため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
歯周病の予防法とは
歯周病の予防法は、歯周病菌が潜む歯垢(プラーク)を蓄積させないことです。
歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間や歯と歯茎の間まで徹底的に清掃する必要があります。
しかし、毎日丁寧にセルフケアを続けていても、歯垢は完全には取り除けません。
磨き方のクセや手を動かせる範囲の限界などが原因で、磨き残し部位に歯垢が蓄積されてしまいます。
また、注意したいのが歯垢が石のように硬く変化した「歯石」です。
歯石は表面がザラついているため、その上に歯垢が次々と蓄積し、歯周病のリスクを高めてしまいます。
歯石は歯ブラシでは落とせないため、いかに歯垢の段階で取り除くかが重要だと言えるでしょう。
また、セルフケアに加えて、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けて、歯垢や歯石を徹底的に除去することが歯周病改善には大切です。
歯科医院では、スケーラーやエアフローといった専門的な器具を用いて、歯に付着した歯垢や歯石を徹底的に除去できます。
また、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けて、セルフケアの質を高めることは歯周病予防にかなり有効です。
歯ブラシの選び方や持ち方、磨き方のコツ、歯磨きのタイミングなど、さまざまな知識と技術を得られます。
日々の歯磨きで歯垢を取り除きつつ、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることで、歯周病のリスクを大きく低減できます。
セルフケアとプロフェッショナルケアの2本柱で歯周病を予防しましょう。
執筆/ひらかわ歯科医院 院長 平河貴大