「黄ばみ・茶色・黒・白い斑点」子供の歯が変色する理由と対処

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ある日、子供の歯の仕上げ磨きをしていたら、歯の変色に気付いた経験がある方は多いのではないでしょうか?
痛がる様子もなく、いつも通り食事をしているのに何故だろうと心配になりますよね。
子供の歯(乳歯)はその性質上、大人の歯(永久歯)と比べて弱く、虫歯になるリスクも高くなります。
その為、気がついたらすぐに歯科医院に相談をしていただきたいケースもございます。
今回は「子供の歯の変色」についてご紹介いたします。
子供の歯と大人の歯の違い
歯の構造は主に3つで構成されます。
エナメル質:歯の表面部分で、歯に対する外部刺激から神経を守る役割を持つ、最も硬い部分。
象牙質:エナメル質の下の層にあり、神経を保護する働きをする部分。エナメル質より柔らかい。
歯髄:歯の中心にあり神経が通っている部分。刺激が加わると痛みを感じる。歯への栄養供給も行う。
歯の構造は子供の歯も大人の歯も変わりません。
大きく違うのはエナメル質の厚さです。大人の歯の方がエナメル質が厚く、歯を守るための防御が強いと言えます。
対して子供の歯はエナメル質が薄いため、虫歯になると早い段階でエナメル質を溶かし象牙質に達します。
象牙質は柔らかいため虫歯の進行が早く、大人の歯よりも早く痛みが出ることが多いです。
子供の歯が変色する原因と対処
子供の歯は大人の歯よりも構造的に弱いのはご理解いただけたと思います。
その為、着色などの異常があった時には早めの対処が必要な場合があります。
歯科医院に行くのを嫌がり、我慢できなくなるまで痛いと言わない子供もいるので、ご両親は注意深くチェックをしてあげてください。
≪茶色に変色した場合≫
歯の表面が茶色くなる主な原因は、飲み物や食べ物の色素による着色が殆どと言われています。
色素による着色は歯の健康に対しては悪影響を及ぼすものではございません。
しかし、歯ブラシだけでは落とすことが難しく、あまり強く磨きすぎるとエナメル質も傷つけてしまう恐れがあります。
気になる場合は歯科医院で専用の器具を使い綺麗にしてもらいましょう。
≪黄ばみがある場合≫
歯が茶色とまでではないけれど、黄ばんでいるように見えることもあると思います。
これは食べ物や飲み物の色素だけでなく、歯垢がついていることにより黄ばんで見える事もあります。
歯垢があるということは磨き残しがあるということです。
成長するにつれて自分で歯磨きをするという子供も多くなりますが、うまく磨けなかったり、歯磨きに対しての意識も低いため表面をサラッと磨いて満足してしまいがちです。
保護者の方はしっかりとチェックを行い、仕上げ磨きをしてあげてください。
また、子供の歯から大人の歯に生え変わる時に、新しく生えてきた歯が黄色っぽく見えることがあります。
歯は半透明なエナメル質で黄色味がかった象牙質を覆うので、多少黄色っぽく見えます。
特に生え変わりたての歯はエナメル質がまだ未熟なので、黄色みが強く出る場合があります。
対して子供の歯は青白いのも特徴なので、歯の生え変わり時期に、後から生えてくる大人の歯の方が黄色っぽく感じることもあります。
≪白い斑点がある場合≫
これは初期段階の虫歯です。牛乳のような白い色をしているのが特徴です。
「虫歯の歯は黒い」という印象を持っている方は多いと思います。
しかし、翌日いきなり黒く変色するという訳ではございません。
虫歯の進行には段階があり、まずはエナメル質が白く濁ってき特有の透明感がなくなります。
甘い飲食物を取り過ぎたり、歯磨きが不足していると虫歯が進行してしまいます。
初期段階の虫歯は特に削ったりしなくてもよい場合が多いですが、子供の歯の虫歯の進行は早いため油断は禁物です。
どうしても白い箇所が気になるようであれば、歯科医院に相談してフッ素を塗ってもらったり仕上げ磨きのやり方を教えてもらうとよいでしょう。
≪黒く変色した場合≫
歯の溝に沿って黒い線のようになっていたり、黒い点がポツンとある場合は進行した虫歯である可能性が高いです。
すぐに歯科医院で診てもらい、必要であれば治療をしてもらいましょう。
また、歯が1本または複数本にわたり全体的に黒っぽい場合、歯の神経が死んでいることもあります。
これは何かに口をぶつけたり転ぶなどして、歯の根っこが打撲をしたことが考えられます。
歯の神経が死んでしまうと歯に栄養を送ることができなくなるため、徐々に黒く変色していきます。
ぶつけた時は痛くても、次の日になると痛みが引きぶつけたことを忘れているため、色が変わってから気付く場合も多いです。
子供の歯が大人の歯に与える影響
子供の歯には大人の歯が生えてくるためのスペースを確保したり、大人の歯を正しい位置に誘導する役割があります。
虫歯などにより突然歯を失うと、それをカバーするために別の歯が動きます。
すると大人の歯生えてくるためのスペースが充分に確保できずに、斜めに生えたり、ズレたところから生えてくる場合があります。
また、「子供の歯は生え変わるから、虫歯になっても我慢できるようであれば治療しなくても大丈夫」と考える方もいらっしゃると思います。しかし、それは間違いです。
虫歯になった子供の歯を放置すると、虫歯菌が進行し歯の根っこまで達します。
そしてそこに膿が溜まります。大人の歯は膿が溜まったところから生えてくるので、虫歯菌に感染してしまいます。
感染した大人の歯は感染していない歯と比べて、虫歯リスクが高くなります。
さらに、虫歯1本あるということは、お口の中全体に虫歯菌が住み着いていると言っても過言ではございません。
お口の中の環境が悪いと、せっかく大人の歯が生えてきても虫歯になるリスクが高くなります。
そのため、お口の中の環境を良い状態にしておくためにも、子供の歯でも虫歯になった場合は必ず歯科医院に相談をしてください。
まとめ
子供の歯が変色する理由はご理解いただけましたでしょうか。
子供の歯は2歳ごろを目安に生え揃い、12歳くらいまで使い続けます。
生え変わる歯だからと言って、歯磨きなどのケアを怠るとお口の中の環境が悪いまま大人の歯が生えてきます。
歯の変色は以上のサインです。強がって痛みをすぐに訴えてくれる子供ばかりではないので、保護者の方はしっかりチェックをしてあげてください。
そして歯の変色を見つけたら歯科医院に相談するようにしてください。
一緒に大切なお子さんの歯を守っていきましょう。
執筆/ひらかわ歯科医院 院長 平河貴大