虫歯

歯の神経を抜く根管治療の必要性と、メリット・デメリットとは

  • 虫歯
  • 2020.01.28

目次

1.歯の構造と神経の役割について
2.神経を抜く根管治療とは
3.抜歯と抜髄(歯の神経を抜く)の違い
4.根管治療が必要となるケース
5.根管治療のデメリットと、日頃から心がけた方が良いこと

歯の神経を抜く根管治療は、天然の歯を守るために大切な手段となりますが、同時にデメリットもあります。
 
今回は、根管治療の内容やメリット・デメリットについて解説します。
 

1.歯の構造と神経の役割について

 
歯には乳歯や永久歯、前歯や小臼歯、大臼歯などのさまざまな種類がありますが、基本的な構造はどれも同じです。
 
 
歯の構造は、大きく分類すると『歯冠部』『歯根』から成り立っています。
 
歯冠部にあるものは、表面からエナメル質、それに覆われている象牙質、その中の歯の神経『歯髄』です。
 
歯根には歯冠部からの延長の象牙質素の中に歯髄があり、歯根周囲には、内側からセメント質や歯根膜、歯槽骨といったものがあります。
 
 
歯根内部には、歯の神経のみでなく血管も存在します。それは、私たちの口腔内の健康状態を守るために非常に重要な役割を担っています。
 
重要な役割の一つが、歯に水分や栄養分を送ることです。
 
血管を通じ、歯に水分や栄養を届けることで、歯に潤いや柔軟性も与えています。
 
のおかげで歯に強い力がかかっても、割れにくいのです。
 
痛みや違和感を通じ、虫歯の進行を私たちに知らせることは、歯の神経の役割です。
 

2.神経を抜く根管治療とは

 
歯の神経を抜く治療のことを、医学的に『抜髄』と言います。
 
 
患部の虫歯を除去して神経を露出させ、専用の治療機器で神経を抜いていきます。
 
その後、消毒や形を整える処置をしてから、歯にふたをして治療が完了します。
 
抜髄を行うときは非常に強い痛みが出るため、通常局所麻酔(部分的な麻酔)を使います。
 

3.抜歯と抜髄(歯の神経を抜く)の違い

 
歯の神経を抜く抜髄と歯を抜く抜歯は、全くの別物です。
 
以下、抜髄のメリットと照らし合わせ、2つの違いについて解説します。
 

【1】天然の歯を残せる

 
歯を抜く治療では、天然の歯を失わなければなりません。
 
入れ歯やインプラントなどで補えるものの、噛み心地や耐久性においては天然の歯にはどうしても劣ります。
 
その分、抜髄では天然の歯を部分的にですが長期的に残せることがメリットです。
 

【2】顎の骨を守れる

 
抜歯をすると、患部の周囲の骨が役割を終えたと判断して吸収が起こり、骨の量が減少し、一度吸収してしまえば元の状態に戻すことはできません。
 
抜髄では歯を失うことはなく、その周囲の顎の骨の吸収も抑えることができます。
 

【3】周囲の歯の位置を維持できる

 
歯が抜けてそのまま放置すると、空いたスペースを埋めるために周辺の歯が移動し、かみ合わせが悪くなるケースが多いです。
 
そのような意味でも、神経を抜いたとしても、天然の歯を部分的に残せる抜髄は有益な治療法と言えるでしょう。
 

4.根管治療が必要となるケース

 
歯の神経を抜く根管治療が行われるケースには、次のようなものがあります。
 

【1】食べ物や飲み物、刺激によって痛みや違和感を覚える

 
あたたかい食べ物・飲み物や甘いものをとったときに痛みを感じたり、刺激を受けなくても違和感を覚えたりする場合、神経が細菌による炎症を受けているサインです。
 

【2】患部周辺の組織が炎症を起こしている

 
歯根内部の炎症が歯の根の先端や周辺の骨に広がり、そこの痛みや腫れ、頬のふくらみなどの症状が出ることがあります。
 

【3】神経が壊死している

 
打撲のような突発的な強い衝撃を受けた結果神経が壊死したときも、歯が暗く変色したり、その歯及び、その周囲の炎症につながるリスクが高いため、抜髄が必要です。
 

5.根管治療のデメリットと、日頃から心がけた方が良いこと

 
抜髄は天然の歯を残すためには必要な方法ではあるものの、一方で以下のようなデメリットもあります。
 

【1】歯の色や質が変わってしまう

 
神経を抜くと血管を通じて歯に栄養がいきわたらなくなり、歯の変色や健康状態の悪化につながったり、割れやすくなります。
 

【2】虫歯のリスクが高くなる

 
痛みを感じられないことで異変に気づけず、気がついた時には大きな虫歯ができていたりするリスクが高くなります。
 

【3】場合によっては痛みが残る

 
歯の神経はとても細いものもあり、根管治療の際に全ての神経を取り切れず、残った一部の神経の残骸が痛みを引き起こすケースもあります。
 
痛みが気になる場合は歯科医院・クリニックを早期に受診し、必要な処置を受けましょう。
 

【4】抜髄を避けるために心がけたいポイント

 
歯の神経を残すには、つまりは、大きな虫歯を作らないためには、日ごろからのケア『ホームケア』と歯科医院・クリニックでのケア『プロフェッショナルケア』が必要不可欠です。
 
まずご家庭での普段のブラッシングの見直しが欠かせません。
 
多くの場合、毎日の歯ブラシのみの歯磨きだけでは、なかなか細かいところまでの汚れを完全には取りきれないため、フロスや歯間ブラシなど補助清掃用具も併用して歯と歯の間もきれいに掃除しましょう。
 
 
そして、定期的に歯科医院・クリニックを受診し、異変がないか確認することも大事なポイントです。
 
虫歯もしくはその再発などを未然に防ぐ環境にすることで、歯の神経にまでダメージを与えない環境が整っていきます。
 
 
歯の神経を抜く根管治療は、ダメージを受けた歯を守るためには必要な手段となりますが、可能であればその必要性が生じない状態を保つことが理想です。
 
ホームケアとプロフェッショナルケアを続け、虫歯の発症や進行を予防しましょう。