虫歯

歯の根の治療(根管治療)で痛いと感じる理由|治療中・治療後の痛みを解説

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  • 2019.11.28

目次

1.歯の根の治療(根管治療)とは、どんな治療法なのか
2.根管治療時に感じる痛み
3.根管治療後に感じる痛み
4.根管治療で歯を残した方がいい理由とは
 
 
「歯の根の治療(根管治療)を行うときに、痛みを伴う」と聞いたことがある方は、少なくないのではないでしょうか。
 
根管治療に痛みが出る場合にはもちろんその理由があり、また根管治療は歯を残していくためにも有効で必要な手段です。
 
こで今回は、根管治療の治療中・治療後の痛みやそれを感じる理由、そして、痛みを感じる場合の対処法について解説します。
 

1.歯の根の治療(根管治療)とは、どんな治療法なのか

 
まず根管治療とは、文字通り歯の根の管の中を治療する歯科治療のことです。
 
虫歯が進行し、いわゆる虫歯菌が歯の根の中にある神経にまで達した場合、次のような症状が現れます。ズキズキとした痛み、冷たいものや熱いものを食べたり飲んだりしたときのしみる感覚、噛んだときの強い痛みなど、さまざまです。
 
虫歯が最も悪化した状態では神経が死んでしまい、痛みすら感じなくなることもあります。
 
これらのような状態になると、歯の根の中で増殖した虫歯菌に感染した状態が自然に改善されることはないため、積極的に歯の根をきれいにする根管治療が必要となります。
 

【根管治療の手順】

 
歯科医院・クリニックで行われる根管治療は、一般的には以下の手順で進められます。

  • 問診を行い、レントゲン検査で状態を確認し、診断する
  • 根管治療の必要性や治療後の経緯を患者さんに説明し、治療の同意を得る
  • 痛みの症状があれば、まず麻酔を行う
  • 詰め物や被せ物があれば、それを取り外す
  • 歯の神経の入り口への道筋を整え、根管内の汚染物質を除去する
  • 症状の改善を確認し、根管内を緊密に封鎖した後、虫歯で失われた部分を補う被せ物をする

歯の場所にもよりますが、根管治療は大抵少なくとも2回以上、多い場合には8回程度の通院が必要になることもあります。
 

2.根管治療時に感じる痛み

 
根管治療中に痛みを感じる場合、その多くは、患部の根の先端に炎症が起こっていたり、神経の一部が残っていることが理由だと考えられます。
 

【痛みを感じたら麻酔や痛み止めで対応】

 
根管治療はもともと歯の神経のある部位を触るため、痛みがあれば、生きた(痛みを伝える)神経が根管内に残っているものと考え、基本的には麻酔を使って治療中の痛みを抑えます。
 
通常の歯茎に行う麻酔で痛みが消失しない場合には、神経を触れる状態にし、直接歯の神経に麻酔を使うことが多いです。
 
ここでは一時的にかなりの痛みが出ると予想されますが、麻酔が神経にきちんと到達すれば間もなく痛みが落ち着き、そうなって歯の神経を取り除く手順に進みます。
 

3.根管治療後に感じる痛み

 
当日の根管治療後に痛みが出る場合に、「噛むと痛みが出るケース」「腫れて痛みが出るケース」があります。
 
また、根管治療を繰り返し行い、痛みなどの症状が落ち着いた後、神経を除去した後の根管内を緊密に封鎖する必要があります。その封鎖をもって根管治療の終わりとしますが、「その根管封鎖後に痛みが出るケース」があり、それぞれに適した対応が異なります。
 

【1】噛むと痛みが生じるケース

 
噛んだときや歯に物が当たったときに痛みが出る場合、歯に触れるものを判断する薄いクッション『歯根膜』にまで波及した炎症が原因です。
 
通常かみ合わせを当たらない状態に調整し、痛み止めの服用で症状を抑えていきます。
 

【2】腫れて痛みが出るケース

 
根管内の神経の一部が死んでしまい腐敗していた場合、歯の根の先端に細菌や膿が出て痛みを感じるケースもあります。
 
根管治療によって細菌の量が少なくすることができます。
 
この場合は根管治療のみでなく、抗生物質や痛み止めで症状を早期に改善しやすくする処置がとられます。
 

【3】薬を入れた後に痛みが出るケース<

 
根管封鎖後に痛みが出る理由は、根管内を封鎖するための薬剤を歯の根の中に詰めたとき、根管内をなるべく緊密に封鎖するために圧力をかけたためです。
 
2日から3日ほど痛みを感じることもありますが、通常その後痛みは消失していきます。
 
痛みが強ければ痛み止めを飲むか、患部で噛まないように気をつけながら食事をとるようにするなど、主治医に相談し、指示を仰いでください。
 

4.根管治療で歯を残した方がいい理由とは

 
根管治療は、治療中も治療後も痛みを伴うことがありますが、自分の歯を残すためには、やはり根管治療は必要です。
 
虫歯が重症化すると、場合によっては患部の歯を抜かなければならなくなります。
 
歯は一度抜くと元に戻らず、入れ歯やインプラントで補わなければなりません。
 
しかし、それらの手段でも天然の歯の機能性や耐久性には劣るため、可能である限りは天然の歯を残したほうが良いと言えます。
 
だからこそ、進行した虫歯のある歯でも、その神経を除去する根管治療の際多少の痛みが生じるとしても、可能な限り安易な抜歯を避け、残せるだけ残すようにしましょう。
 
 
また歯の神経を抜いたとしても、歯自体はなくなりません。
 
歯質そのものは残り、きちんとケアしていれば長く使い続けることができます。
 
そのような意味でも、自分の歯を活かすための根管治療は、受けておいたほうが賢明です。
 
 
以上、根管治療で痛みを感じる理由や対処法、治療の意味について解説しました。
 
治療中や治療後の痛みを考えると、つい避けてしまいたくなるものですが、状態を放置しているとさらに大変な結果に見舞われることになります。
 
痛み自体は麻酔や痛み止め、時間によって軽快していくため、少し勇気を出して根管治療を受け、今後の歯の健康状態を守りましょう。