小児歯科

ご両親必見!乳歯の虫歯が永久歯に与える大きな影響!

  • 小児歯科
  • 2019.10.23

≪ 目次 ≫

乳歯は何で生えてくるの?

乳歯の虫歯と永久歯の関係

まとめ

 

「自分の子供が虫歯になってしまった・・・」

「でもまだ乳歯で、しばらくしたら永久歯に生え変わるだろう。」

「永久歯が生えてから歯の事は真剣に考えても遅くないんじゃないかな?」

 

このように考えるお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか?

ですが、この思考パターンはとても危険です!

「ご自身が子供の頃に虫歯で苦労をした」「大人になってから歯周病の治療などで歯科医院に通院を行っている」など苦い思いをしたことがあったり、ご両親から歯の事に関して厳しく躾けられてきた経験が無いと、乳歯に対してそこまで真剣に考えているという方は少ないのではないかと思います。

しかし、乳歯の虫歯を侮ってはいけません。

結論から申し上げると、乳歯の虫歯は永久歯にとって多大な悪影響を及ぼします。

今回は乳歯の持つ役割を踏まえ、永久歯に与える影響についてご説明いたします。

 

 

乳歯は何で生えてくるの?

そもそもどうして乳歯が生えてくるのでしょうか。

最初から永久歯でもよいのではないかと思う方もいらっしゃると思います。

生えてくる歯の本数も永久歯が28本(親知らずを除く)に対して乳歯は20本しかありません。

歯の本数だけで見ると損をしているように見えますが、これから大きく成長していく赤ちゃんの頃に永久歯と同じだけの本数の歯が生えてくると、単純に顎のスペースに歯が収まり切らないからです。

また、乳歯と永久歯の大きさを比べてみても、永久歯の方が大きく頑丈です。

 

乳歯の役割としてあるのが食べ物を噛むことです。

これは当たり前ですね。

他にも乳歯の役割として大きいのが「顎を発達させる」ということです。

食べ物を自分の歯で噛むことにより顎の筋力や骨が鍛えられるので、顔の輪郭を整えてくれます。

しっかりと噛むことにより顎が成長をすると、永久歯が生え揃うためのスペースも充分に確保できるようになります。

 

また、永久歯がキレイに生えてくるための道しるべとしての役割もあります。

乳歯が生えてきて早々に虫歯になり乳歯を抜くことになると、食べ物を噛みづらくなり顎の骨が成長しにくくなる事に繋がります。

顎のスペースが小さく永久歯が生えるための道しるべが無くなると、永久歯が生え揃った時の歯並びが悪くなる恐れが大きくなります。

 

乳歯は食べ物を噛むだけでなく、永久歯の為にも大切な役割を果たしているということをご理解いただけましたでしょうか?

乳歯は「どうせ生え変わるもの」ではなく「1回しか生えてこない大切な役割を担ったもの」としてご認識いただければと思います。

 

 

乳歯の虫歯と永久歯の関係

「乳歯と永久歯は直接的に繋がっているわけではないのだから、後から生えてくる永久歯には影響はないんじゃないか」と思う方も多いと思います。

確かに乳歯と永久歯はピッタリとくっついているわけではございません。

しかし、虫歯菌は想像以上の動きをしてきます。

前提として、乳歯も永久歯と同じく歯の作りは外側から「エナメル質」「象牙質」「歯髄(しずい)」とう順番で3層構造になっています。

歯髄の中には細かな血管や神経が通っています。

乳歯の下にはこれから生えてくるための永久歯がスタンバイしており、エナメル質を溶かし、象牙質を溶かし、乳歯の歯髄まで到達した虫歯菌は神経をつたい永久歯にまで悪影響を及ぼしてしまうのです。

すると新しく生えてきた永久歯は、虫歯菌を持った状態で生えてきます。

 

また、乳歯は順番に生え変わっていきます。

全ての乳歯が一斉に生え変わるものではございません。

新しく生えてきた永久歯の隣の歯が虫歯だった場合、新しく生えてきた永久歯も虫歯菌に侵される危険性は高くなります。

虫歯があるということはお口の中全体があまり良い環境では無いとも言えます。

1本の乳歯の虫歯をきっかけに、他の永久歯にも被害が広がっていくことも考えられます。

 

虫歯は虫歯菌によって起こります。

永久歯が虫歯菌を持った状態で生えてきたり、他の乳歯にも虫歯があるということは、永久歯が虫歯になるリスクが最初から高いことになります。

永久歯に悪影響を及ぼすほど乳歯の虫歯が進行しているということは、残念ながら歯に対しての意識が少ないことが考えられます。

子供は虫歯での苦い経験が無いうちは、自分の意志で永久歯の為にも乳歯を大切にしようという意識は湧いてこないでしょう。

歯磨きも上手にできないため、磨き残しは当たり前にあります。

そのため、ご両親や保護者の方がしっかりと意識を持ち、子供の歯を守っていかなければいけません。

可能であれば寝る前の仕上げ磨きを小学生のうちは必ず行い、黒く変色しているなどの異常を見つけた際は歯科医院に相談をしてください。

もちろん虫歯菌がいるからといっても、必ずしも虫歯になるわけではございません。

歯磨きや歯科医院での定期的なメンテナンスを行うことにより、虫歯になるリスクは下げることが可能です。

乳歯であっても永久歯であってもケアを怠らないということが大切です。

 

 

まとめ

乳歯の虫歯は永久歯に対しても悪影響を及ぼします。

乳歯は永久歯がきちんと生え揃うための「乳歯としての役割」があり、永久歯に生え変わるまでの代用品であるというわけではございません。

乳歯が虫歯になると神経をつたい、永久歯に対して直接的にも間接的にも虫歯になるリスクを高めます。

そうならないためにも、乳歯の内から意識的にケアを行いお口の中の環境をよい状態で保つことが大切です。

 

執筆/ひらかわ歯科医院 院長 平河貴大