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ダメな歯を抜いてすぐ!?インプラントのタイミングで迷っている方は必読!

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  • 2019.03.28

インプラントとはどんな治療なの?

不慮の事故、歯周病や虫歯などで歯を失ってしまった方への治療方法の一つです。

顎の骨の歯を失った部位に人工の歯根を埋め込み、そこに人工の被せ物を装着して咬めるようにすることと見た目を改善することを目的としています。

インプラント治療は、歯を失った部分の前後の歯を削ることなく、抜歯した部分だけにアプローチする方法ですので、周りの健康の歯に負担をかけることなく治療が行えます。
さらに、治療後に被せ物が欠けたり、やり直しをする必要が出た際も比較的簡単に治療が行えるという特徴があります。

健康な周りの歯への侵襲がなく、治療後もしっかりとケアをすれば半永久的に自分の歯として機能する点で注目を集めています。

≪インプラント治療の主な構成≫

●人工歯根(フィクスチャー):土台

●連結部分(アバットメント):人工歯根と人工歯を繋ぐもの

●人工歯(上部構造):セラミック(陶器)などを素材とした人工の歯

≪インプラント治療の流れ≫

①カウンセリング

②検査

③治療計画の説明

④虫歯や歯周病の治療

⑤インプラント手術
  ⑴(必要があれば)歯を抜く
  ⑵歯茎の治りを待つ
  ⑶顎の骨に「人工歯根」を埋め込む外科手術を行う
  ⑷顎の骨と人工歯根が結合するのを待つ
  ⑸人工歯根が顎の骨と安定して結合した後に人工歯根に「連結部分」を装着する
  ⑹歯茎の状態が安定したら型を取り「人工歯」を作る
  ⑺出来上がった「人工歯」を連結部分に装着する
※埋入部位に歯がない場合は、(3)からのステップとなります。

⑥メンテナンス

差し歯や入れ歯と違い、顎の骨に人工物を埋め込む、なんて聞いたら不安な気持ちを持ってしまわれる方も多いのではないかと思います。

では、どういった不安を持たれましたか。

よくあるのは、以下のことではないでしょうか。

①安全性に関して

まず手術ですので、少なからず何らかのリスクがあることは間違いありません。

ご自身の全身疾患のことはもちろん、インプラント処置部位の状況などによってリスクの度合い、結果が左右されます。

そのため、カウンセリング時にお身体の状態をしっかりお伺いしたり、口腔内検査、CT検査でお口の中の状態をしっかり把握することでより安全に進めることができますのでご安心ください。

②手術内容に関して

入院は不要です。もちろん麻酔はしっかりと行いますので、ほぼ痛みなく処置は受けていただけます。

また、術後の痛みも痛み止めでコントロールできますのでご安心ください。

時間は、本数や状態にもよりますが、およそ2時間も見ていただければ十分かと思います。

③治療期間に関して

およそ3ヶ月〜6ヶ月が目安です。状態によって異なりますので、しっかりとカウンセリング時に相談されることをお勧めします。

④治療費に関して

インプラントのメーカーによってその材料費が異なります。

また、保険外の診療ですので、各医院によって治療費は決められています。

どうしても気になるようでしたら、費用の根拠などもカウンセリング時に伺われると良いかと思います。

⑤耐久性に関して

インプラントの材料には、チタンという素材が使用されており、材料自体は体内にて半永久的に大丈夫だとされています。

骨折をした時などの治療として使用されるナットやボルトも同じ素材を使用します。

インプラント治療を初めて受けた患者さんは、亡くなるまでの40年以上、何の問題もなくインプラントを使い続けておられたというような長期の臨床実績もあります。

インプラントは、適切なメンテナンスを行えば 半永久的に使っていける『第二の永久歯』とも言われています。

インプラント治療を終えた後は適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたり使用することができます。

最低半年に1回はメンテナスで受診し、噛み合わせのチェック、ケア、クリーニングを受けられることをお勧めします。

さて、インプラント手術は、それを行うタイミングによって2通りの治療法がありますので、ご紹介します。

歯を抜いた後、その部分(抜歯窩)の回復を待ってインプラント治療を行う方法

歯を抜いた後に一定の期間を空けて「抜歯窩の回復」を待ってから、人工歯根を顎の骨に埋入します。

インプラント治療が始まった頃から行われている治療方法です。

これを「抜歯待時埋入法」と言います。

人工歯根の埋入のタイミングとしては、歯茎の治りを待ち1ヶ月から2ヶ月後に、歯茎と顎の骨の治りを待ち3ヶ月から4ヶ月後に人工歯根を入れるパターンがあります。

どちらのタイミングが良いかは、検査に基づいた歯科医師の診断によって決まります。

【なぜ治りを待つ必要があるのか】

事故などの外的衝撃によって歯を失ったり歯周病や虫歯で抜歯になると、歯を支える歯の周りの骨が痩せていて、人工歯根を入れても支えられない場合があったり、歯茎が傷ついていることもあります。

傷ついている状態で人工歯根を入れると治療後の歯としての機能や見た目が悪くなってしまう恐れや感染のリスクも高くなります。

治療期間が長くなるデメリットがありますが、安全性では抜歯待時埋入法が良いと思われます。

≪抜歯待時埋入法のメリット≫

・感染のリスクを低くできる

・抜いた歯の状態から受ける影響が小さいため、理想的な位置に人工歯根を埋入する事ができたり、顎の骨に安定して人工歯根を埋入する事が可能

≪抜歯待時埋入法のデメリット≫

・人工歯根と顎の骨の安定や歯茎の回復を待つため治療期間が長くなる

・その期間周囲の歯への負担が懸念される

歯を抜いた後、その日の内にインプラント治療を行う方法

医療技術やインプラントの品質向上にともなって、埋入部位の条件にもよりますが、歯を抜いたその日の内に人工歯根を埋入することができる様になっています。

これを「抜歯即時埋入」と言います。歯茎や顎の骨の改善を待つ時間が無くなるので、治療期間が短縮されます。

さらに、歯茎の形状がそのまま保存されるので、特に前歯の場合は元々のより自分の歯に近い状態で治療を終える事ができます。

≪抜歯即時埋入のメリット≫

・抜歯と人工歯根を埋入する処置が同時に行えるので、麻酔や手術負担が減る

・状態が良ければ、抜歯をした直後に埋入したほうが、人工歯根が安定しやすい

・歯茎などの形状が抜歯前の形状に近い状態になる

・顎の骨が痩せにくい

≪抜歯即時埋入のデメリット≫

・人工歯根を入れるために十分な顎の骨の量が必要

・重度の歯周病では行えない

・抜歯後の骨吸収の予測、インプラントを埋入する位置の見極め、抜歯部位の感染など注意する点が多く、高い技術が必要なうえ、骨の形状や歯周病の状況など適応条件が厳しくなります。

・高い技術が必要なため、対応できる歯科医院が限られる

・抜歯待時埋入法よりも費用が割高になる場合がある

【適応条件】

・埋入予定部位に感染がない

・重度の歯周病でない(全体的な歯茎の状態が治療によって改善している)

・埋入予定部位の骨の状態が良く、抜歯後の骨の吸収を考慮しても、人工歯根が固定でき、見た目を損なわない回復が見込める

・全身的な問題がない(糖尿病など治癒が遅くなることが予測される場合は、慎重な対応が必要となります)

【抜歯即時埋入の流れ】

①歯を抜く

②歯を抜いた部位を専用機材で人工歯根の形態に整え、そこに人工歯根を埋入する

③人工歯根と埋入部位の骨との隙間を骨補填材で埋め、縫合をする
※この時に仮歯を入れる場合があります

④人工歯根と顎の骨が結合したら人工歯根に連結部分を取り付け、人工歯(被せ物)を作るための型を取る

⑤出来上がった「人工歯」を連結部分に装着する

インプラント以外の方法

歯を抜いた後の治療にはインプラント以外で2つの方法があります。

●ブリッジ

抜けた歯の両隣があれば、その歯に被せものをするために削り、連結した被せ物で補っていく方法です。

入れ歯に比べると安定感があり、ものを噛んだ感触も自分の歯と大きくは変わりません。

しかし、両隣の歯が健康的な綺麗な歯だったとしても削る必要があるというデメリットもあります。

●入れ歯

入れ歯は何となくおじいちゃん、おばあちゃんだけのものだと思う方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、周りの歯を削ったりしないので周囲への侵襲が少なくて済みます。

痛みなどの問題があった場合は、自分で外すこともできます。お手入れもそんなに大変ではありません。

現在のご自身のお口の中の状態を歯科医師とよく相談し、最適な方法を選んでください。

まとめ

インプラントの技術も日々進歩をしているため、より安全に、より予知性の高い手術が行えるようになってきています。

・歯茎の回復を持ってから行う「抜歯待時埋入法」

・その日の内に行う「抜歯即時埋入」

安全性や治療期間、顎の骨の状態など、状況によって、上記の埋入時期のみでなく、人工歯根のサイズ、性状など選択できる治療方法の幅が広がってきました。

そのため、インプラント治療がより身近なものとなってきているのではないでしょうか。

ただし、インプラントは、被せ物が入ったらそこで終わりではありません。

そこからがインプラントとのおつきあいのスタートです。しっかりとメンテナンスに通い、適切なケアを行うことで、インプラント歯周炎などのトラブルを避けることができます。

もちろんインプラント治療を行った歯科医院以外でもメンテナンスは可能です。転勤などの引っ越しがあった場合でもご安心ください。

最後に、インプラントをお考えの際は、状態、治療法、治療期間についてもしっかり担当歯科医師と相談し、納得、安心の上で受けられることをお勧めします。